海外のSF・ファンタジー小説紹介ブログ

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貧乏人のインターネットvs.お金持ちの著作権

トピック「著作権」について

  インターネットの一番すごいところは、貧乏人でも情報を発信できることでしょう。そして情報を発信するときは、他人のアイデアや表現をパクることがあります。たとえば、多くのファンタジー小説が、指輪物語のアイデアをパクっている、というのはよく言われることです。しかしパクリはいいことです。指輪物語をパクったファンタジー小説を世界中の人が楽しんでいます。

 ところが、他人のアイデアだけでなく、表現までパクろうとすると、著作権法の壁にぶつかります。ちゃんと許可を取りに行かなければならないことになります。

 でもここで問題が出てきます。貧乏人でも情報を発信するので、他人の表現の使用許可を取りたい人は増えます。しかし、発信される情報が多すぎる上に、表現は長く長く守られるので、そもそも誰のものなのかわからなくなった表現もたくさんでてきます。それを調べるにはお金と労力が必要です。貧乏人にはきついです。そして例外だらけの法律は複雑で曖昧なのに、貧乏人には法律のプロが雇えません。たとえば、表現とアイデアの違いなんて普通わかりません。

 著作権法は、もっとお金持ちな人たちを想定しているのかもしれません。お金持ちなら、例外の多い複雑な法律も、プロに処理させたら安心です。情報を作った人が誰かわからなくても、お金の力で、作った人とそれを相続した人を探してくることができます。表現は、作った人が死んだ後も50年(欧米では70年)守られるので、お金持ちは儲かりそうな表現を利用する権利を買い取ることで、末長く大儲けできます。

 表現を利用するときの条件のテンプレを作ろう、というクリエイティブ・コモンズの試みがあります。しかし、貧乏人の多いインターネットとお金持ちを想定した著作権の仕組みは、今摩擦を起こしている段階なのかもしれません。そしてそんな著作権法は、国際的なベルヌ条約をベースにしているので、簡単には変えれないのです。